1.3 実用新案を取るメリット

自分の考案に実用新案の登録を受けることによって、その実用新案を業として実施することについて、独占排他的な権利を得ることができることを、1.特許・実用新案とはの説明でご理解いただけたと思います。
ここでは、実用新案を取る必要があるのか、そのメリットは何か、について考えてみましょう。

その実用新案権は誰が持っているのか、などの権利関係が実用新案原簿に記載され公示されることは、1.2 特許を取るメリットで説明した特許の場合と同じです。実用新案の考案(技術的思想)がどんなものか、の内容は実用新案公報で公開されて、保護されることも、特許の場合と同じです。

次に、あなたが生み出した考案が実用新案登録出願をして実用新案を取らなければ、あなたは業として実施することができないのか、という問題ですが、大きく分けて二つのケースが考えられます。

一つ目のケースは、あなたが実用新案登録出願をしていないで、他人が既に、それと同じ考案の実用新案登録を取っているか、それと同じ発明の特許を取っているか、実用新案登録出願をしているか、特許出願していれば、原則としてあなたは、あなたの考案を業として実施することができません。但し、他人の実用新案登録出願か特許出願の際に、既にあなたが考案の実施である事業をしているか、事業の準備をしている場合には、例外としてあなたは、あなたの考案を業として実施できます。

二つ目のケースは、あなたが実用新案登録出願をしていないで、他人がまだ実用新案も取っていないし、特許も取っていないし、まだ実用新案登録出願もしていないし、特許出願もしていなければ、あなたはあなたの考案を業として実施できます。但し、あなたが実用新案登録を取っていなければ、後から他人があなたの考案を業として実施したとしても、これを止めさせることはできません。他人がその考案以外の生産面や販売面で優位に立っていれば、あなたの事業はその他人の事業によって淘汰されてしまうことも考えられます。
このように、あなたの考案という無形の財産は、全く守られない事態も考えられることは、1.2 特許を取るメリットで説明していることと同じです。

特許と違い、実用新案の場合には、1.1 特許と実用新案の違いで説明のとおり、瑕疵ある権利を濫用することのないよう、より慎重な判断の下に権利を行使することが求められます。このことを除いて、もし、あなたが実用新案を取っていた場合、品物を財産として所有すると同様に、その考案を財産として処分する権利を漏れなく確保できるわけです。以上により実用新案を取るメリットをご理解いただけると思います。
更に詳しくは、ご遠慮なくお尋ねください。