2.2 保護を受けることができる実用新案

どんな要件を満たせば保護を受けることができるのか、特許と実用新案に共通的な要件は、2.保護を受けることができる発明・考案とはの説明でご理解いただけたと思います。ここでは、実体審査が行われない実用新案の制度に特徴的な要件を見ていきます。

実用新案の場合には、書類書式などの方式審査に加えて、出願が基礎的要件を満たしていない場合にも、特許庁長官はその出願の補正を命ずることができます。そして出願人により補正がなされない場合には、出願は却下処分され、登録を受けることができません。では、基礎的要件とはどんなものか、見ていきましょう。

(1)実用新案の対象
「特許庁長官は、実用新案登録出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。」(実用新案法第六条の二柱書)
「一  その実用新案登録出願に係る考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。」(実用新案法第六条の二第一号)
【説明】実用新案はその対象が、実用新案法第一条により「物品の形状、構造又は組合せ」とされていますので、これを満たさないものは、補正命令を受けます。但し、この要件を満たさないで登録を受けても、形式的な不備を残すだけなので、無効理由にはなりません。

(2)公序良俗と単一性
「二  その実用新案登録出願に係る考案が第四条の規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。」(実用新案法第六条の二第二号)
「三  その実用新案登録出願が第五条第六項第四号又は前条に規定する要件を満たしていないとき。」(実用新案法第六条の二第三号)
【説明】特許と実用新案で共通的な登録要件として、2.保護を受けることができる発明・考案とはで説明したものですが、実用新案の場合は実体審査で拒絶されるのではなく、これを満たさないものは、補正命令を受けます。但し、単一性の要件を満たさないで登録を受けても、形式的な不備を残すだけなので、無効理由にはなりません。

補正に関することは、特許庁長官の補正命令などの対応に関することになり、専門家に委任いただく場合が多くなると思います。
更に詳しくは、ご遠慮なくお尋ねください。