4.2 実用新案技術評価

1.1 特許と実用新案の違いで、自分の実用新案権が侵害されていると訴えるなどの権利行使は、実用新案技術評価書を提示して警告した後でなければ、権利行使できないと、説明いたしました。4.1 侵害で説明された、侵害行為の差し止めや侵害による損害賠償の請求などの権利行使は、特許と違って、いきなり行使をすることはできないのです。ここでは、その実用新案技術評価を詳しく見ていきます。

実用新案技術評価とは、新規性、進歩性、拡大先願がないこと、先願がないことの要件を先行技術文献から見て、その考案の有効性を評価するものです。但し、実用新案権としての効力を直接に法的に左右することはなく、その法的性格は、鑑定に近いものとされています。また、新規性や進歩性でも、先行技術文献に記載のない、「公然知られた考案」や「公然実施された考案」に基づくものは、評価の基準にはなりません。
この評価は、誰でも、いつでも、特許庁長官に対して、請求書を提出し、手数料を納付することで請求することができます。評価の対象は、実用新案登録出願された考案と既に登録された登録実用新案のいずれも、評価の対象とすることができます。出願人以外も請求できるのは、権利行使しようとする実用新案権者が、実用新案技術評価を請求するばかりでなく、第三者が自分の事業が権利行使を受けないよう対策するためにも、実用新案技術評価が必要になるからです。また、この評価の請求は取下げることができませんので注意が必要です。一旦特許庁の審査官の評価作業が始まりますと、後戻りして無駄を生じることが許されないことによります。
実用新案技術評価の請求があったとき、特許庁長官は審査官に実用新案技術評価書を作成させます。請求から約1月程度で評価書は作成されます。

実用新案は実体審査をしないで権利を付与するので、実体的要件を満たしているかどうかは、原則的には当事者間の判断に委ねられています。しかし、権利の有効性の判断には、技術性・専門性が求められ、当事者間の判断が困難な場合もあります。このようなときに、権利の有効性に関する客観的な判断材料を提示することが、実用新案の制度上望ましいと考えられたものです。
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